国土交通省は21日、「平成29年地価公示」を発表した。調査地点は全国2万6,000地点。うち、福島第一原子力発電所事故に伴う避難指示区域内の12地点については、調査を休止した。
平成28年1月以降1年間の地価変動率は、住宅地が全国平均で0.0%と、9年ぶりに下落を脱して横ばいに(前年0.2%下落)。商業地は1.4%上昇(同0.9%上昇)と、2年連続の上昇となった。全用途平均は0.4%上昇(同0.1%上昇)と、2年連続の上昇。三大都市圏では、住宅地が0.5%上昇(同0.5%上昇)と横ばい、商業地は3.3%上昇(同2.9%上昇)と、上昇基調を強めている。
住宅地は、全国的に雇用情勢の改善が続く中、住宅ローン減税等の施策による住宅需要の下支え効果もあって、住宅地の地価は総じて底堅く推移。上昇の継続、または下落幅の縮小がみられた。商業地については、再開発事業等の進展による繁華性の向上や外国人観光客の増加等による店舗・ホテル需要の高まり、オフィス空室率の低下等による収益性の向上を背景に、不動産投資意欲が旺盛に。地価は総じて堅調に推移した。
都道府県地価調査との共通地点1,635地点での半年ごとの地価動向をみると、全国の住宅地・商業地は年前半・後半ともに上昇。三大都市圏・地方圏も、年前半・後半ともに上昇した。
全国の調査地点を上昇・横ばい・下落別にみると、住宅地は上昇6,082(同5,245地点)、横ばい4,067(同3,411地点)、下落7,760(同7,672地点)。商業地は、上昇2,874(同2,551地点)、横ばい1,034(同936地点)、下落2,234(同2,362地点)。住宅地では「上昇」が増えたが「下落」も増加。商業地は「上昇」が増え「下落」は減少した。
都道府県別地価変動率については、住宅地で上昇した都道府県数が11(同10)、2%以上下落した都道府県数は2(同5)。商業地は、上昇した都道府県数が18(同16)、2%以上下落した都道府県数は4(同9)にとどまった。
今回、最も上昇した住宅地は、仙台市若林区若林18で12.3%の上昇。15年12月の地下鉄東西線開業により、新駅から徒歩圏内の住宅地域では利便性が向上し、地価が上昇している。商業地は、大阪市中央区大阪中央5-19で41.3%の上昇。外国人観光客の増加に伴う繁華性向上から新規出店需要が強く、さらに周辺部においてはホテル用地としての需要も旺盛であることから、地価が上昇している。
国土交通省