ファミマ、民泊のAirbnbと業務提携 “地域密着型”で共闘

ファミリーマートは5月21日、民泊サービス大手のAirbnb Japanと業務提携すると発表した。ファミリーマート店舗を活用し、宿泊者への鍵の受け渡しサービスを用意する他、民泊物件の提供者と宿泊者向けに商品を開発・提供する。「地域に根差した宿泊市場を全国に波及させ、地域社会の発展に貢献する」(両社)という。  

 

ファミリーマート店舗に設置する専用ボックスで、宿泊者が鍵の受け取り、返却をできるようにする。宿泊者向けにファミリーマートで使えるクーポンも提供し、食事などの機会に利用してもらう。2018年度内に150店舗の展開を予定している。  

 

Airbnbの関連サイト、雑誌などへ情報を掲載し、ファミリーマートの利用を促す。ファミリーマート店舗にはAirbnbの冊子を置くなどプロモーション活動を展開し、相互送客を狙う。両社それぞれとパートナーシップを締結している企業との協業も検討している。  

 

ファミリーマートは、日本国内に約1万7100店舗を展開している。Airbnbの田邉泰之代表取締役は「地域の拠点として、はるか先をいくファミリーマートに学びたい」と話す。Airbnbが目指すのは「地元の方と触れ合い、文化を知る体験型の旅」(田邉氏)という。単に民泊物件数を増やすだけでなく、地元や自治体と連携し、訪日客が繰り返し来日したくなるような体験を作り出したい考えだ。  

 

一方、ファミリーマートは、店舗にコインランドリーを設置する事業を始めるなど、社会インフラとしての役割を高めたい意図もある。地域密着型のサービスを重視する両社の利害が一致した形だ。訪日客の需要を見込む中、ファミリーマートの澤田貴司社長は「相互送客の効果に期待している」と話した。  

 

民泊のルールを定める住宅宿泊事業法(民泊新法)が6月15日に施行される。民泊事業者へ都道府県への届け出を義務付け、条件を満たせば、全国で誰でも営業できるように民泊を“解禁”する。このタイミングに合わせ、コンビニ大手が相次いで民泊事業者の業務負担を軽減する施策を打ち出している。  

 

ローソンは1月、都内の一部店舗で、民泊やカーシェアサービスの鍵を受け渡せる専用ボックスを導入した。19年3月末までに100店舗へ拡大する計画だ。一方、セブン-イレブン・ジャパンはJTBと連携し、都内の一部店舗に無人端末を設置。民泊事業者が宿泊者の本人確認や鍵の受け渡しを行えるサービスを6月に始める。20年度までに1000店舗での展開を目指す。